樹木を観察するうちに,「虫こぶ」というものを知りました。 このコーナーでは,私が見つけた虫こぶを紹介します。 虫こぶの種類はとても多く,また,初心者むけの詳しい本もほとんどありません。 内容は正確さを欠いているかもしれませんが,ご承知の上ごらんください。 |
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クヌギハマルタマフシ | |
2003.7.25 岡山県吉備中央町 | 2003.8.18 岡山市「護国神社」 |
左はクリ,右はアベマキの葉。いずれもブナ科。整った球形と鮮やかな赤色は,鳥が誤って食べないのかと思うほど。全て脈上に出来ているようだ。形成者はクヌギハマルタマバチ。タマバチは,ハチ目(膜翅目)タマバチ科の昆虫。 | |
クヌギハケタマバチ? | ナラハウラマルタマフシ? |
岡山市「護国神社」 | 2003.7.23岡山県加茂川町「21世紀の森」 |
アベマキの葉裏,側脈上にて。クヌギハマルタマフシは表面だがこれは裏面。 | コナラの葉表,主脈上にて。つやのある質感はクヌギハマルタマフシとは違って見える。薄葉重先生の掲示板の情報から,ナラハウラマルタマフシではないかと思う。 |
ナラハヒラタマルタマフシ? | |
2003.10.19岡山県「自然保護センター」 | 2004.10.17 岡山県「自然保護センター」 |
コナラの葉裏にて。色は半透明。 | コナラの葉の裏にて。色は淡黄色。 |
おそらくコナラの葉裏だったと思う。切断したところ,中心に虫室らしきものがあった。色はやや透明感のある淡紅色。 | |
★ナラハウラマルタマフシと,ナラハヒラタマルタマフシは,コナラなどの葉の裏にできる球状の虫こぶという点でとてもよく似ている。 ★薄葉先生のお話でもこの2種の同定はかなり難しいと言うこと。ただ,ナラハウラマルタマフシの方が時期が早く,夏には成熟するらしい。 ★ということで,7月に確認したものは,ナラハウラマルタマフシで,10月に確認したものは,ナラハヒラタマルタマフシではないかと判断した。 |
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エゴノネコアシ | |
2011.8.2 岡山県吉備中央町 | 2005.7.18 岡山県高梁市 |
形成者はエゴノネコアシアブラムシ。エゴノキの側芽(そくが)にできる。 普通,虫こぶの和名は,「樹木名+発生箇所+形状+倍子」であることが多いが,これは例外。形状が猫の足の形に似ていることによる。 |
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エノキハイボフシ | |
2003.7.23 岡山県「21世紀の森」 | |
エノキにて。エノキには,ほかに「エノキハツノフシ」ができるが,これは「ツノ」のような形状になっていない。 | |
ツツジミマルフシ | |
樹種:コバノミツバツツジ 虫えい:ツツジミマルフシ (ツツジ+ミ+マル+フシ) 形成者:タマバエの一種 撮影:2003.9.21 岡山県佐伯町「自然保護センター」 9月に入って急に目立ちはじめた。虫こぶを注意して観察すると,時期があることがよく分かる。わってみると中にはウジ虫状の幼虫がいた。 |
撮影:2003.10.12 岡山県佐伯町「自然保護センター」 最近は,虫こぶを切って中を見ることにあまり抵抗がなくなってきた。 ツツジミマルフシらしきものを,2つに切ってみた。そんなに固くはなく,すっと切れた。中心にごちゃごちゃと異質なものがあったが,何かは分からなかった。 |
ソヨゴメタマフシ | |
樹種:ソヨゴ 虫えい:ソヨゴメタマフシ (ソヨゴ+メ+タマ+フシ) 形成者:ソヨゴタマバエ (Asteralobia Soyogo) 撮影:2002.11.20 岡山県長船町「長船美しい森」 私が樹木の観察を始めた頃に出会ったもの。センターの指導員の方に「この実はなんですか?」と尋ねたのを覚えています。ていた。 |
撮影:2003.11.22 岡山県「21世紀の森」 くしくも,左の写真と1年と2日違いの観察でした。左の写真が茶褐色に変色しているのに対して,今回のものは,まだみずみずしい紫色をしていました。 やはりこいつは,11月あたりから目立ち始めるのかな? |
撮影:2004.11.28 岡山県吉備高原 自宅に持ち帰り,少しずつ削っていったところ,4匹の黄色いウジ虫状の幼虫を確認した。虫室は5個前後あるようだった。おそらくこれがソヨゴタマバエの幼虫なのであろう。 |
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ノブドウミフクレフシ ? | バラハタマフシ |
樹種:ノブドウ 虫えい:ノブドウミフクレフシ (ノブドウ+ミ+フクレ+フシ) 形成者:ノブドウミタマバエ (Asphondylia baca) 撮影:2003.10.12 岡山県吉備新線沿線 この美しい色が虫こぶの影響だというのはにわかに信じがたいものがある。「虫こぶハンドブック」の写真はこのように鮮やかな色でなく,これと同一がどうかはよく分からない。 |
樹種:ノイバラ 虫えい:バラハタマフシ 形成者:バラハタマバチ 撮影:2009.8.3 岡山県加賀郡吉備中央町 |
ナラメリンゴフシ | |
樹種:コナラ 虫えい:ナラメリンゴフシ (ナラ+メ+リンゴ+フシ) 形成者:ナラメリンゴタマバチ (Biorhiza nawai) 撮影:2003.8.12 岡山県吉備高原 |
左の写真の中をわってみたところ… おびただしい数のアリがでてきた。中には,サナギやよう虫がたくさんあった。虫えいを,アリが巣作りに利用したのか? 触角の様子などからみても,形成者であるナラメリンゴタマバチではなく,やはりアリの一種であると思われる。 |
樹種:コナラ 撮影:2006.5.1 岡山県「自然保護センター」 こちらは,間違いなくナラメリンゴフシのよう。大きさは正確に計っていないが,直径3センチぐらいだったように思う。 |
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ケヤキハフクロフシ | |
樹種:ケヤキ 虫えい:ケヤキハフクロフシ (ケヤキ+ハ+フクロ+フシ) 形成者:ケヤキヒトスジワタムシ (Paracolopha morrisoni) 撮影:2003.8.13 岡山県吉備高原 |
樹種:ケヤキ 撮影:2006.5.4 岡山県吉備高原 |
イヌツゲメタマフシ | |
H17.1.30 | |
樹種:イヌツゲ 虫えい:イヌツゲメタマフシ (イヌツゲ+メ+タマ+フシ) 形成者:イヌツゲタマバエ (Asteralobia sasaki) |
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H17.3.6 岡山県「はるみの丘」 | |
ニッケイハミャクイボフシ | リョウブハタマフシ |
樹種:ヤブニッケイ 虫えい:ニッケイハミャクイボフシ (ニッケイ+ハミャク+イボ+フシ) 形成者:ニッケイトバリキジラミ (Trioza cinnamomi) 撮影:2003.8.18 岡山市護国神社 |
樹種:リョウブ 虫えい:リョウブハタマフシ (リョウブ+ハ+タマ+フシ) 形成者:タマバエの一種 撮影:2003.9.1 岡山県吉備高原 |
赤星病(あかほしびょう) | |
樹種:カマツカ 撮影:2003.6.1 岡山県佐伯町「自然保護センター」 |
表面に盛り上がり,色は茶褐色に変色していた。また,,うら面には刺状のとっきが多数出ていた。 |
これは,赤星病(あかほしびょう)という病菌の一種であることが分かりました。ナシやリンゴ,ボケ,サンザシなどのに多く発生すると言うことなので,同じバラ科のカマツカに発生しても不思議ではないかもしれません。発生時期も5〜7月ということなので,一致しています。 この菌のおもしろいところは,季節によって宿主(しゅくしゅ)を変える点です。4〜5月の寒い時期には,ビャクシンやカイヅカイブキなどに黄褐色の光沢のあるゼリー状のふくらみを発生させますが,5〜7月になると,胞子(ほうし)をとばして,ナシやリンゴなどに移り赤星病を発生させるということです。 |
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樹種:カマツカ 撮影:2003.11.2 岡山県佐伯町「自然保護センター」 |
上の写真とは異なり,刺状の突起は出ておらず,盛り上がっているのみだった。 |
こちらは,同一のカマツカの葉の11月の様子です。これが,赤星病の名残りなのかどうかは分かりません。 | |
クヌギエダイガフシ | |
樹種:クヌギ 虫えい:クヌギエダイガフシ (クヌギ+エダ+イガ+フシ) 形成者:クヌギエダイガタマバチ (Trichagalma serratae) 撮影:2003.10.4 岡山県吉備中央町 世代の違う2個だろうか?茶色いのが3つ,黄緑色のが1つならんでいた。茶色いのをわってみると,中には空間があり,その中に虫室があった。 黄緑色のを切ると空間はなく,中央に虫室らしきものが見られた。 |
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クズクキツトフシ | ヌルデミミフシ |
樹種:ク ズ 虫えい:クズクキツトフシ (クズ+クキ+ツト+フシ) 形成者:オジロアシナガゾウムシ (Mesalcidodes trifidus) 撮影:2003.10.5 岡山県佐伯町「自然保護センター」 茎が異常にふくらんでいるので気付いた。これはおそらく古いもので虫は出たあとのものだと思う。数個の穴があいていた。 |
樹種:ヌルデ 虫えい:ヌルデミミフシ(五倍子) (ヌルデ+ミミ+フシ) 形成者:ヌルデシロアブラムシ (Schlechtendalia chinensis) 撮影:2003.8.27 岡山県吉備高原 乾燥させたものを五倍子(ごばいし)といい,薬用や染色に用いる。かつては,お歯黒に使われた。虫えいはいずれも,タンニンの含有量がきわめて多く,おおくの場合それを利用している。おそらく,五倍子は入手が比較的容易なため,よく利用されたのだろう。 |
ナラメイガフシ | |
樹種:コナラ 虫えい:ナラメイガフシ (ナラ+メ+イガ+フシ) 形成者:ナラメイガタマバチ (Andricus mukaigawae) 撮影:2003.10.5 岡山県佐伯町「自然保護センター」 |
コナラの幼木に4つできていた。手触りは固い。知らない人は当然,果実だと思う。 アベマキ,クヌギ,クリ,コナラなどブナ科の虫えいは幼木に多く見られるような気がする。 中をわってみると,虫室が中央に1つあり,中にはすでに成虫の形をした(おそらくサナギだとおもう)ものが見られた。 これだけ頑丈に守られていては,他の生物はほとんど手出しできないように思う。 |
撮影:2003.11.22 岡山県吉備中央町「21世紀の森」 昨年の観察日よりも2ヶ月ちかく遅かったが,まだ緑がかった色をしていました。吉備高原はだいぶ寒いので,地域差かもしれません。 |
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??? | ヨモギクキワタフシ |
樹種:ノイバラ (まはたミヤコノイバラ) 虫えい:??? 形成者:??? 撮影:2003.10.5 岡山県佐伯町「自然保護センター」 虫えいかどうかもはっきりしませんが,茎がいびつにふくらんでいるのに目がとまりました。なぜ,その場で切ってみなかったのか…不覚でした。 |
樹種:ヨモギ 虫えい:ヨモギクキワタフシ 形成者:ヨモギワタタマバエ 撮影:2004.2.14 玉野市「田井海洋公園」 公園に遊びに行くと,子供と遊ぶ前に必ず園内を一周散策します。ふと目にとまったのがこれ。図鑑などではよく目にするのですが,実物を見るのは初めてでした。小さな公園でしたが,至る所にあり,3本採集して帰りました。うち,2本は鉢植えにして現在観察中であります。 |
ヨモギハシロタケマフシ | |
樹種:ヨモギ 虫えい:ヨモギハシロタケマフシ 形成者:ヨモギシロケフシタマバエ 撮影:2004.9.19 岡山県佐伯町「自然保護センター」 この日この周辺では非常にたくさんのヨモギハシロタケマフシが見られた。切ってみたら中には1つの虫室らしきものが見られたが,卵はよく分からなかった。 |
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ミザクラハベリフクロフシ | |
樹種:セイヨウミザクラ 虫えい:ミザクラハベリフクロフシ 形成者:ミザクラコブアブラムシ 撮影:2004.6.2 岡山県吉備高原 |
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??? | |
樹種:ビロードイチゴ 虫えい:??? 形成者:??? 撮影:2005.1.1 岡山県御津町虎倉 |
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ブナの葉の虫こぶ(種名不明) | |
参考文献 「虫こぶハンドブック」 薄葉 重 著 (文一総合出版) 「虫こぶ入門」 薄葉 重 著 (八坂書房) |
(注)作者は樹木の専門家ではありません。あくまで趣味のページですので,まちがった情報もあるかもしれません。まちがいを発見された場合ご一報いただければ幸いです。
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