ブナ科コナラ属アベマキ（コルククヌギ，ワタクヌギ）

ブナ科コナラ属アベマキ，学名：Quercus variabilis，かのんの樹木図鑑
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【ブナ科　コナラ属】	Quercus variabilis

【　棈　】　　　別名／　コルククヌギ，ワタクヌギ，バベ（岡山）
●落葉高木（らくようこうぼく）　●高さ：15～20ｍ　●花期：４～５月　（雌雄同株）　●果期：翌年の秋（10～11月）　●分布：北海道，本州，四国，九州
参考文献 (1)「山渓ハンディ図鑑３　樹に咲く花　離弁花①」（山と渓谷社）P244 (2)松井宏光，「葉で引く四国の樹木観察図鑑」（高知新聞社）



2008.6.16　岡山県和気町葉は互生（ごせい）。葉身は狭長楕円形，基部は円形，先端は鈍く尖る。長さ12～17㎝。縁には刺状の鋸歯（きょし）がある。表面は無毛で光沢がある。裏面には星状毛（せいじょうもう）が密生し，白味を帯びて見える。葉脈はやや直線的で裏面に隆起する。

2007.10.21　岡山市京山


H15.10.19　岡山県自然保護センター	2007.10.21　岡山市京山
うら面の様子。クヌギ（上）には，黄褐色の軟毛（なんもう）があり，淡い緑色である。たいして，アベマキ（下）は，星状毛（せいじょうもう）がびっしりと生えており，灰白色をしている。ふたつならべてみると明確だが，単独でみると紛らわしい。	鋸歯（きょし）は，はり状。クリは，鋸歯の先まで葉肉の緑色が見えるが，クヌギやアベマキは緑色が見えない。

2008.4.12　岡山市「半田山植物園」	2008.4.12　岡山市「半田山植物園」
雄花序（ゆうかじょ）は葉の展開と同時に，新枝の下部から垂れ下がる。 ※この写真は新しい枝が伸びていない。	雌花は，新枝の上部の葉腋（ようえき）に１個ずつつき，短い柄があるのが特徴。雄花序に比べると小さいので見逃しやすい。

2010.5.15 岡山県加賀郡吉備中央町
花柱が成熟した雌花序。

H16.6.27　岡山県自然保護センター	H15.8.18　岡山市護国神社付近
昨年の春に受粉した果実。この夏で急激に生長して秋には熟す。その年に熟す…コナラ，ナラガシワ，ミズナラ，カシワ，アラカシ，シラカシ，イチイガシなどと… 翌年の秋に熟す…クヌギ，アベマキ，ウバメガシ，アカガシ，ツクバネガシ，ウラジロガシ，マテバシイ，シリブカガシ，スダジイなど。

H15.10.18　岡山市芳賀佐山	2006.12.11　岡山市「半田山植物園」
アベマキのドングリは，直径1.5～２㎝。ずんぐりとした形で，殻斗（かくと）には，線形の鱗片がらせん状にびっしりと付く。	クヌギシギゾウムシや，コナラシギゾウムシの幼虫がはい出た穴と思われる。幼虫は地中に潜り蛹化する。

H16.12.12　岡山県自然保護センター	H16.12.12　岡山県自然保護センター
幹は直立してよく繁る。樹皮（じゅひ）は，コルク層が発達し，クヌギとの区別の手がかりになる。	冬芽は，芽鱗（がりん）20～30枚に守られている。先端には白い毛が密生している。同属のクヌギとはほとんど変わりないようだ。


●クヌギ（Q. acutissima），クリ（Castanea　ｃｒｅｎａｔａ）との区別・葉の形はクヌギに似るが，アベマキは裏面に星状毛が多く，灰白色に見える。クヌギは無毛で緑色に見える。・クリは，鋸歯の先端まで葉肉があり，緑色に見えるが（図２），アベマキやクヌギは針状で緑色に見えない。（図１）・樹皮はアベマキの最大の特徴。コルク層が発達し，爪で押すと弾力を感られる。
図１　アベマキ	図２　クリ

図３　コルクガシ
	●かつてアベマキは，その樹皮からコルクを採取するために栽培された。現在はほとんど，コルクガシ（図３）の樹皮から採られている。コルクガシ（学名：Quercus suber）は，ブナ科コナラ属の常緑高木。地中海地方原産。図３のコルクガシは，岡山県の半田山植物園で撮影した。

コルク層が発達しでこぼこした樹皮を，凍瘡（とうそう）の治癒後にできる“あばた”に見立て「アバタマキ」。さらにそれが転訛して「アベマキ」となったとされる。(2)

岡山県では，コナラとともに里山を代表する樹木。成長が早く，萌芽力が旺盛なことから薪などに利用される。コルク層が発達していることから，炭やしいたけのほだ木としての利用は敬遠されがちである。岡山県南部から中部にかけての里山に多い。
（注）作者は専門家ではありません。あくまで趣味のページですので，まちがった情報もあるかもしれません。まちがいを発見された場合ご一報いただければ幸いです