エゴノキ科エゴノキ属エゴノキ,学名:Styrax japonica,かのんの樹木図鑑
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 【エゴノキ科 エゴノキ属】  Styrax japonica
 エゴノキ  
【 − 】
 別名 / チシャノキ(チサノキ)(萵苣木), ロクロギ(轆轤木),チナイ,チナリ[中国地方]
 英名 / Japanese snowbell (日本の雪の鐘)
 ●落葉小高木(らくようしょうこうぼく)
 ●高さ:7〜8m
 ●花期:5〜6月 両性花
(りょうせいか)
 ●果期:8〜9月
 ●分布:北海道(日高地方),本州,四国,九州,沖縄
参考文献
(1) 「山渓ハンディ図鑑5 樹に咲く花」(山と渓谷社)P198
(2) 松井宏光,「葉で引く四国の樹木観察図鑑」(高知新聞社)P227
(3) 千葉喬三監修,山陽新聞社,岡山の樹木,1989年,P46
2008.6.10 岡山県吉備中央町「大平山」
2006.5.24 岡山県 吉備中央町
葉は互生(ごせい)。葉身は卵形で長さ4〜8p,基部はくさび形,先端は尖る。縁には粗い鋸歯(きょし)があるが,主に先端側の半分にある。また,全縁(ぜんえん)の葉もふつうに見られる。質はやや厚く,しなやかで,両面とも光沢を有する。表面は無毛,裏面は脈腋(みゃくえき)にわずかに黄褐色の毛叢(もうそう)がある。
2005.5.15 岡山県「自然保護センター」 2003.6.21 岡山県加茂川町
花序。清楚な花を下向きにつける。花冠(かかん)は5深裂し,雄しべは10個,柱頭は長く突き出る。 八重咲きの花を見つけた。
2004.5.9 岡山県「自然保護センター」 2006.5.24 岡山県 吉備中央町
蜜を吸うセセリチョウの仲間,訪れる昆虫が受粉に一役買う。 伸びたばかりの枝には,星状毛(せいじょうもう)が目立つ。
2005.7.18 岡山県高梁市有漢町「大平山」
エゴノネコアシ(えごの猫足)といわれる虫えい(ムシコブ)。中にはエゴノネコアシアブラムシがいる。
虫えいとは思えない見事なつくりをしているが,これはもともとは冬芽である。写真のものは,すでに先端部がやぶれ成虫が出た形跡がある。6〜7月に多く見られる。
2008.9.19 岡山県高梁市有漢町「大平山」
エゴノメフクレフシという名の虫えい(ムシコブ)。タマバエの一種が形成する。
2003.7.6 岡山県佐伯町「自然保護センター」 2003.11.2 岡山県「自然保護センター」
若い果実(かじつ)。星状毛(せいじょうもう)が密生する。果皮にはエゴサポニンという有毒物質をふくむ。 熟すと果皮(かひ)が縦に割れ,種子が1個でてくる。
H17.2.4 岡山県「岡山ふれあいセンター」 2005.10.16 岡山県「自然保護センター」
エゴノキの下に落ちていた種子。コーヒー豆のよう。 種子の殻は大変固く,ナイフでも容易には割れない。ヤマガラは,これを器用に割って食べる。
私も少しかじってみたが,かなりの苦みがあった。
2010.3.19  岡山県真庭市豊栄
2004.3.28 岡山県吉備高原(植裁) 2004.3.28 岡山県吉備高原(植裁)
春の日差しに誘われて,葉芽(はめ・ようが)が,若干伸びてきている。 展開直前の葉芽。枝から立ち上がってきている。まだ,全身は星状毛(せいじょうもう)に覆われている。2〜3日後には,葉が出てきた。
2003.11.16 岡山県「自然保護センター」 2004.11.29 岡山県「自然保護センター」
側芽の基部には,副芽(ふくが)がつく。冬芽は星状毛(せいじょうもう)におおわれている。 短枝(たんし)の発達した枝。
2008.10.13 岡山県立森林公園 2010.3.19  岡山県真庭市豊栄
樹皮は黒っぽく,なめから。
見どころ
エゴノキとヤマガラの関係…
エゴノキの果実はヤマガラ(野鳥)が好むことで知られる。果実にはエゴサポニンという有毒物質が含まれるのに,どうしてヤマガラは大丈夫なのかが気になるが,エゴサポニンは果皮部分に含まれているので,殻を割って種子を食べるヤマガラは大丈夫なのだろう。中身を食べられた種子は,当然,発芽しないのだが,ヤマガラはこれを蓄える性質があり,食べ忘れた種子が発芽すること(貯食散布)が知られている。
魚毒としての利用
エゴノキの果実に含まれる有毒物質エゴサポニンを利用した魚毒漁がかつて行われていた(3)。若い果実をすりつぶして川に流し,麻痺して浮いてきた魚をとるという漁法である。現在は魚毒による漁は禁止されている。
ほかにもサンショウの樹皮,ノグルミの葉が魚毒として利用されていた。
庭木としての利用
樹高があまり高くならず,爽やかな樹形が好まれ庭木や公園樹として用いられる。

名の由来
●果皮を口にすると“えぐい”ことに由来する。2)
●別名「チシャノキ」については,ムラサキ科にもチシャノキ Ehretia acuminata var. obovataがあるが,深津正,小林義雄(木の名の由来,東京書籍)は,両者の語源は全く異なるとしている。両氏によると,ムラサキ科のチシャノキは,“若菜を食用とし,その味が野菜のチシャ(萵苣)に似ている”ことに由来するが,エゴノキは,中国地方の方言名「チナイ」に由来するとしている。チナイとは,チナリ(乳成り),つまり,果実がたわわに実った様子であるとし,チナリが転訛してチシャノキになったとしている。
●別名「ロクロギ(轆轤木)」については,ろくろ(轆轤)とは,傘の上端で骨の先を集めて、傘の開閉に用いる仕掛けのことを指し,その材としてエゴノキの枝が用いられたことに由来する。
(2)
岡山県情報
岡山県内全域に分布する(3)
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