カバノキ科イヌシデ属イヌシデ(シロシデ,ソネ,ソロ),学名:Carpinus tschonoskii,かのんの樹木図鑑
もどる ホーム ←検索サイトから来られた方は,ホームへおいで下さい!

 【カバノキ科 イヌシデ属】  Carpinus tschonoskii
  イヌシデ
  
【 犬四手 】 別名 /シロシデ,シロソネ,ソネ,ソロ,シデ
 ●落葉高木(らくようこうぼく)
 ●高さ:10〜20m
 ●花期:4〜5月 雌雄同株,花は葉の展開とほぼ同時に開く。
 ●果期:10月
 ●分布:本州(岩手県以西),四国,九州
参考文献
(1) 「山渓ハンディ図鑑3 樹に咲く花 離弁花@」(山と渓谷社),P192
(2) 松井宏光,葉で引く四国の樹木観察図鑑,高知新聞社,2002年,P238
(3) 千葉喬三監修,山陽新聞社,岡山の樹木,1989年,P244
2008.6.10  岡山県吉備中央町
葉は互生
(ごせい),縁は円形〜広いくさび形,先端は尖る。縁には重鋸歯(じゅうきょし)が並ぶ。側脈は直線的で葉縁に達する。表面は側脈間に褐色の伏毛(ふくもう)が散生,裏面は脈上や脈腋(みゃくえき)に軟毛を有する。
H16.10.17 岡山県「自然保護センター」 H16.10.17 岡山県「自然保護センター」
シデのなかまの葉はどれもよく似ているが,イヌシデは側脈(そくみゃく)の間隔がやや広く,葉柄(ようへい)が短い。 葉柄や,葉裏の脈上に毛が密生している。
H15.6.8 岡山県「自然保護センター」 H15.6.8 岡山県「自然保護センター」
若葉の頃。また趣が異なる。
2005.11.13 岡山県「大平山」 2007.4.3 岡山県高梁市「大平山」
まだ幾分縮こまった花序。雄花序は前年枝から垂れ下がり,雌花序は本年枝の先端から出る。
2011.4.16 岡山県高梁市臥牛山  2011.4.16 岡山県高梁市臥牛山
雌花序は混芽(こんが)で,新葉の展開とともに伸び出してくる。花柱は紅色で先端が2裂する。 雄花序。苞(ほう)は黄褐色で,先端部が赤みを帯びている。長さは5〜8p。苞の縁や雄しべの葯(やく)の先端には毛がある。
2011.6.27 岡山県高梁市「臥牛山」
2005.11.13 岡山県「大平山」 H15.2.15 岡山市半田山植物園
果苞(かほう)のついた果実をバラバラと落とす。アカシデよりもひとまわり大きい。
2012.1.29 岡山県美咲町両山寺
樹皮(じゅひ)は灰色で,色の濃い縦すじが入り,縞模様ができる。老木には浅い割れ目ができる。慣れれば樹皮だけで見分けることができる。
岡山県内に自生するクマシデ属(Carpinus)とその特徴。
サワシバ 葉身の基部が深い心形。
クマシデ 側脈の間隔が狭く葉が細長い。
アカシデ 葉柄が長く,葉先が尾状に伸びる。
イヌシデ 葉柄が短く全体に毛深い。
イワシデ アカシデに似るが,アカシデほど葉先が尾状に伸びない。
古くから薪炭材や建築材,器具材,シイタケのほだ木として利用されてきた。(2)
名の由来
「シデ」は,ホップ状の果穂が垂れた様子を神事に用いられる「四手(しで)」に見立てたとされる。
四手は,玉串(たまぐし)やしめ縄などにつけて垂らす紙である(右写真)。
参考・引用文献
中村浩著,植物名の由来,東京選書,1980年


植物名の「イヌ」は,役に立たないものの意味とされることが多いが,イヌシデの場合はアカシデやクマシデと比べて,特に劣るともないようだ。果穂のボリューム感を「イヌ」で言い表したのではないかと思う。

別名のシロシデは,アカシデに対して,葉に伏毛が多く白っぽく見えることによるのだろうと思う。
岡山県情報
岡山県全域の山地に広く分布する。雑木林を代表する樹種であるが,照葉樹林内でも見かける。
(注)作者は専門家ではありません。あくまで趣味のページですので,まちがった情報もあるかもしれません。まちがいを発見された場合ご一報いただければ幸いです

もどる ホーム


Copyright(C) 2003.9- Kanon All Rights Reserved.

inserted by FC2 system