ウコギ科カクレミノ属カクレミノ,学名:Dendropanax trifidus,かのんの樹木図鑑
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 【ウコギ科 カクレミノ属】  Dendropanax trifidus
  カクレミノ 
【 隠れ蓑 】 別名/ミツデ,カラミツデ,ミツナガシワ,ミゾブタカラミツデ
 ●常緑高木
 ●高さ:9〜15m
 ●花期:6〜7月
 ●果期:10〜11月
 ●分布:本州
(千葉県南部以西),伊豆諸島,四国,九州,沖縄
 ●生育地:湿り気のある照葉樹林内
参考文献
(1) 高橋秀男・勝山輝男監修『樹に咲く花』山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑4〉,2001年,P690
(2) 松井宏光,葉で引く四国の樹木観察図鑑,高知新聞社,2002年
(3) 深津正,小林義雄著,木の名の由来,東京書籍,1993年

2007.1.16 岡山県吉備中央町
2006.12.11 岡山市「半田山植物園」
2011.12.31 岡山市御津宇甘九谷 H15.11.14 岡山市「護国神社」
下から見上げてみると…いろいろな形の葉が見える。
葉は互生
(ごせい)。枝先に集まってつく傾向がある。葉の形は変化が著しく,切れ込みのないものから3裂,時には5裂することもある。傾向としては,幼木ほど切れ込みが深く,成木の条件の良い葉になるほど切れ込みがない。
質はしなやかで丈夫。縁はやや波打ち,3脈が目立つ。
葉柄は枝の先端ほど短く,基部に向かうほど長くなり,無駄なく日光を受けることができる。上の写真を見ると葉の重なりが極めて少ないのが分かる。
常緑樹だが,秋になると黄葉した葉が目立ち始める。
2012.1.9 岡山県倉敷市「種松山」 2004.11.19 岡山市「護国神社」
幼木,といっても何度か刈り込みを受けているようだ。成葉と比べると切れ込みがかなり深いが,葉の質感はカクレミノらしさを感じさせる。 西日の当たるところで紅葉した葉を見つけた。
 「紅葉」は,葉の中の糖分がアントシアンという赤色の色素に変わることでおこる。
H15.7.27 岡山県「自然保護センター」 H15.7.27 岡山県「自然保護センター」
成長したつぼみ。先端で花弁同士がぴったりとくっついている様子が分かる。 枝先に,球形の散形花序(さんけいかじょ)をつける。両性花だけがつく花序と,雄花と両性花の混じる花序が見られる。
H15.11.14 岡山市「護国神社」 2006.12.11 岡山市「半田山植物園」
果実(かじつ)は熟すと黒色になる。割ってみたところ,7個の種子が確認できた。
となりのナンキンハゼには野鳥が群がっていたが,こちらには1羽の来客もなかった。野鳥には余り人気がないのか?カクレミノがどのような種子散布をしているのかも気になる。
カクレミノの果実に大量のカメムシを確認。幼虫から成虫まで,群がって汁を吸っていた。
2011.12.31 岡山市御津宇甘九谷
2012.2.11 岡山県総社市「御前神社」
樹皮(じゅひ)は,灰白色でなめらか,小さな皮目(ひもく)がある。しばしば地衣類が付着する。
見どころ
1本の木の中に,単葉から5裂するものまで多様な葉の形体をもつのが特徴。クワ科(ヤマグワマグワヒメコウゾ…),ウコギ科(キヅタ…),スイカズラ科(スイカズラ)などにも同様の特徴がある。
はじめはややこしく感じるが,慣れてくると逆に同定の手がかりになる。
近縁種のチョウセンカクレミノ(朝鮮隠れ蓑)の樹皮に傷をつけて出た樹液を,黄漆(きうるし)といい,塗料として利用する。(2) 日本では同じくウコギ科のコシアブラの樹液を金漆(ごんぜつ)いい,やはり塗料として利用していた。カクレミノからも類似の樹液がとれ,むしろ耐水性はコシアブラよりも優れているという。(3)
耐陰性が強く,ヤツデと同じようにやや日陰の庭木などに利用される。剪定などの際に,樹液に触れると体質によってはかぶれる恐れがある。
名の由来
3裂した葉の形を「天狗のかくれ蓑」に見立てたとする説がある。(2)
岡山県情報
岡山県内では南部の山地に多い。低温に弱いのか県東部ではかなり北まで自生がみられるが,吉備高原の広がる県西部での分布は南部に偏る。
標高が400m前後の総社市延原「御前
(おんざき)神社」にもわずかながら自生している。
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