ウルシ科ウルシ属ヤマウルシ,カブレノキ,学名:Rhus trichocarpa,かのんの樹木図鑑
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 【ウルシ科 ウルシ属】  Rhus trichocarpa Miq.
  ヤマウルシ  
【 山漆 】   別名 /カブレノキ(岡山県有漢町にて)
 ●落葉低木(らくようていぼく)
 ●高さ:3〜8m
 ●花期:5〜6月 雌雄異株
(しゆういしゅ)
 ●果期:9〜10月
 ●分布:北海道,本州,四国,九州
参考文献:「山渓ハンディ図鑑4 樹に咲く花」(山と渓谷社) P276
葉は奇数羽状複葉(きすううじょうふくよう),互生(ごせい)。小葉は4〜8対,基部はくさび形,先端はやや尾状にとがる。葉軸(ようじく)や小葉柄(しょうようへい)には,軟毛が密生し,やや赤みを帯びることが多い。吉備高原では,ヤマハゼと同じような生育環境にあり,見た目もよく似ているが,ヤマハゼよりも,本種のほうが,小葉の幅があり,ふっくらした感じがする。 ( 2009.6.30 岡山県高梁市有漢町 )
2008.10.19 岡山県吉備中央町
美しく紅葉したヤマウルシ。典型的な陽樹でパイオニアプランツ。林縁部から長く枝を伸ばし,枝先に大型の奇数羽状複葉(きすううじょうふくよう)を束生状につける。
秋の紅葉は「楓(カエデ)さへまけんうるしの紅葉かな」といわれるほど,鮮やか。
H15.6.9 岡山県加茂川町 H15.6.9 岡山県加茂川町
若木の葉には鋸歯(きょし)が見られる。
H16.11.13 岡山県「鳴滝森林公園」 H16.11.13 岡山県「鳴滝森林公園」
 小葉(しょうよう)。時期にもよるのだろうが,主脈(しゅみゃく)が赤みを帯びている。
 主脈上には褐色の毛が生えている。上部の小葉が重なっていた部分だけ,赤味がない。
H16.11.13 岡山県「鳴滝森林公園」 H16.11.13 岡山県「鳴滝森林公園」
葉軸(ようじく)や小葉柄(しょうようへい),主脈(しゅみゃく)上に軟毛(なんもう)が密生しているのがよく分かる。 うら面の様子。表面に比べると毛が明らかに少ない。
H16.5.14 岡山県吉備中央町
ヤマウルシは雌雄異株(しゆういしゅ)。写真はいずれも,雄花序。
黄緑色の小さな花弁が5個,反り返っているがほとんど目立たない。雄しべはやはり5個あり,長く突き出ている。中央には柱頭らしきものがあるが,退化しており結実することはない。
2007.5.13 岡山県「自然保護センター」 2006.5.29 岡山県「大平山」
雌花。柱頭は突き出て3裂する。雄花のように花弁は反り返っていないようだ。 傘のように広がった羽状複葉の下に守られるように円錐状の花序を出す。
H15.7.6 岡山県「自然保護センター」 H15.11.16 岡山県「自然保護センター」
果実(かじつ)の表面には刺毛(しもう)が生えている。 果実は,核果(かくか)。刺毛(しもう)のついた外果皮(がいかひ)は,やがて褐色になり,割れ落ちる。
2005.10.23 岡山県「自然保護センター」
割れ落ちた外果皮の中から白いロウ質の中果皮(ちゅうかひ)に覆われた核(かく)が顔を出す。核には,黒いスジが目立つ。
H15.11.16 岡山県「自然保護センター」 H16.4.9 岡山県吉備中央町
冬芽は裸芽(らが)。褐色の毛に覆われ,冬の寒さから大切な芽を守っている。側芽(そくが)は球形で小さい。
葉痕
(ようこん)は,ハート形で,維管束痕がV字形にならぶ。
久々に見たヤマウルシの冬芽。4月が到来してもまだなかなか展開を見せない。11月よりも若干大きくはなっているようだ。
H16.4.18 岡山県吉備中央町 H15.10.29 岡山県「21世紀の森」
2011.5.3 岡山県加賀郡吉備中央町
ヤマウルシの新葉の展開。葉軸の鮮やかな赤色が目に鮮やか。新枝の葉柄には花芽もついている。この時期の生長は驚くほど早い。
  葉軸 葉の縁 果実
ヤマウルシ 軟毛がある 全縁,幼木は鋸歯あり 球形,表面に刺毛
ヤマハゼ 毛が密生 全縁 扁平,表面は無毛
ハゼノキ 無毛 全縁 扁平,表面は無毛
ヌルデ(フシノキ) 翼がある 鋸歯有り 扁平,表面に細毛,白い結晶あり
【特集】ヤマウルシ,ヤマハゼ,ハゼノキ,ヌルデの葉の比較
名の由来
漆を採取するため古くから栽培されてきたウルシ(Toxicodendron vernicifluum)に対して,山野で普通に見られるウルシの意味。
岡山県情報
樹皮にはウルシオールが含まれる。ウルシほど強烈ではないが,かぶれることが多いので注意が必要。
吉備高原の一部(高梁市有漢町)で高齢者の方が,本種を「カブレノキ」と呼んでいるのを耳にした。ここには,ツタウルシや,ウルシがないため,ヤマウルシが“かぶれる”木の代表格なのである。
ただし,ヤマハゼやヌルデなども混同されていることが多い。
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