シキミ科シキミ属シキミ,学名:Illicium anisatum,かのんの樹木図鑑
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 【シキミ科 シキミ属】  Illicium anisatum L.
  シキミ
 
【 樒 】 別名/シキビ,ハナノキ(カエデ科のハナノキとは別種),ハナシバ,コウギ,シンバナ 
●常緑小高木
●高さ:3〜10m
●花期:3〜5月
●果期:9〜10月
●分布:本州
(中南部以西),四国,九州,沖縄
参考文献
(1) 「山渓ハンディ図鑑3 樹に咲く花 離弁花@」(山と渓谷社),P391
(2) 松井宏光,葉で引く四国の樹木観察図鑑,高知新聞社,2002年,P273
(3) 千葉喬三監修,山陽新聞社,岡山の樹木,1989年,P189
 

H15.2.7 岡山県加茂川町豊岡上 2012.1.3 岡山県加賀郡吉備中央町
葉は互生(ごせい),枝先に集まり輪生状(りんせいじょう)につく。葉身は長楕円形で,基部はくさび形,先端はとがる。全縁(ぜんえん)。質は厚く,光沢がある。側脈(そくみゃく)は目立たない。葉には油点(ゆてん)があり,揉むと抹香(まっこう)の香りがする。
H15.6.3 岡山県「21世紀の森」 H17.3.7 岡山県吉備中央町下土井
花弁が散った跡。 開花直前のつぼみ。
H16.4.7 岡山県豊岡上
シキミの花は花弁と萼片(がくへん)が同大・同色で見た目には区別がつかない。

H16.4.7 岡山県豊岡上
花は両性花。写真をよく見ると,雄しべが閉じているときには,雌しべが開き,雄しべが開いているときには,雌しべは閉じている。自家受粉を避けるために,雌しべの方が早熟になっているようだ。(雌性先熟)
シキミは,古い図鑑ではモクレン科にいれられている。多数の雌しべと雄しべが並ぶ様子はまさにモクレン科を思わせる。
H15.7.22 岡山県加茂川町豊岡上 H15.7.22 岡山県吉備高原「21世紀の森」
H15.10.25 岡山県「21世紀の森」
袋果(たいか)が8こ集まった集合果(しゅうごうか)。果実には特に毒性が強い。アニサチン等を含み,全身痙攣から呼吸麻痺を起こすということだ。(参考:学研「アウトドア危険・有毒生物安全マニュアル」P73)
H15.11.9 岡山県「21世紀の森」 H15.2.7 岡山県加茂川町豊岡上
花芽は球形,葉芽は長卵形。これは葉芽。
2012.1.29 岡山県美咲町両山寺
樹皮は暗褐色。皮目(ひもく)が連なり,縦向きの筋ができる。老木になると縦向きの割れ目を生じる。
2012.1.29 岡山県美咲町両山寺
たまたま切り株を見つけたので撮影した。周囲は40pほど。心材,辺材でほとんど色の変化がないようだ。
近縁のトウシキミ(Illicium verum )の果実は,八角(はっかく),大茴香(だいういきょう)と呼ばれ中華料理に用いられる。本種と混同されることがあり,注意が必要。
ミヤマシキミや,ツルシキミとは,生育環境が似ており,同一の林内で見かけることが多い。また,葉の質感や傷付けたときに独特の匂いが漂うことが似ている。
ふつうは,ツルシキミ,ミヤマシキミのほうが葉が細く,樹高が明らかに低いのだが,シキミの幼木とは時に迷うことがある。
わたしは,葉をちぎって香りをかぎ,匂いの質で判断することが多い。ミヤマシキミ,ツルシキミは柑橘系の爽やかな匂いがするのだが,シキミは独特の嫌な匂いがする。この方法は感覚的なものなので経験を積むしかないが…。
比較写真(ツルシキミ,シキミ,コショウノキ)
葉や樹皮を干して粉末にしたものが抹香や線香などの材料になる。
仏前や墓前に供えられる。しばしば寺院や墓地にも植えられる。
名の由来
全草有毒。果実の毒性分は特に強く,食すれば死亡する危険性もあるという。そのため「悪しき実」が転訛しシキミとなったとされる。(2)
岡山県情報
岡山県内の全域に分布する。耐陰性が強く,サカキなどと共に照葉樹林内で亜高木層を形成する。モミ林内にも多い。
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