モチノキ科モチノキ属モチノキ,学名:Ilex integra,かのんの樹木図鑑
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【モチノキ科 モチノキ属】 | Ilex integra | |
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【 黐の木 】 別名 /−− | ||
●常緑小高木 ●高さ:6〜10m ●花期:4月 (雌雄別株) ●果期:11〜12月 ●分布:本州(宮城・山形県以南),四国,九州,沖縄 |
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参考文献 (1) 高橋秀男・勝山輝男監修『樹に咲く花』山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑4〉,2001年,P480 (2) 松井宏光,葉で引く四国の樹木観察図鑑,高知新聞社,2002年,P397 (3) 千葉喬三監修,山陽新聞社,岡山の樹木,1989年,P108 |
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2010.1.31 和歌山県白浜町 | |
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2006.12.11 岡山市「半田山植物園」 | |
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2012.2.19 岡山県赤磐市石上「石上布都魂神社」 | |
葉は互生(ごせい)。葉身は楕円形で,長さ4〜7cm。基部はくさび形で,先端は急に細くなり鈍く尖る。全縁(ぜんえん)だが,幼木や徒長枝の葉には微細な鋸歯(きょし)が見られる。質はしなやかで厚い。両面とも無毛で,裏面からはほとんど側脈が確認できない。主脈は裏面に隆起する。 生育環境などの諸条件によって葉の大きさや形の変異の幅が大きいように思う。 |
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2012.2.19 岡山県赤磐市石上「石上布都魂神社」 | |
右の写真のようにしだれた枝では,しばしば葉が平面上に2列に並ぶ。 | |
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2010.3.10 岡山県高梁市近似 | |
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2010.2.27 岡山市北区 | |
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2006.12.11 岡山市「半田山植物園」 | 2006.12.11 岡山市「半田山植物園」 |
果実は葉腋(ようえき)からの短枝(たんし)から果柄を伸ばしてつき,赤色に熟す。直径は約1p。核果(かくか)で,中には4個の核がある。(核とは内果皮が木質化し種子を包み込んでいるものを指す。) 同属のクロガネモチ(I. rotunda)は,非常によく似た印象の樹木であるが,果実の付き方は決定的に異なる。クロガネモチは1本の柄から散形(さんけい)状に果実をつける。 |
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2012.2.19 岡山県赤磐市石上「石上布都魂神社」 | |
ツブラジイを優占種とする照葉樹林内でしばしばモチノキを目にした。中でもこれは一番の大木。中央の2本の太い幹はいずれもひとかかえはあった。白っぽく平坦な樹皮だが意外と皮目が多く,やや縦に連なっている。地衣類が多く付着していた。 | |
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2012.2.19 岡山県赤磐市「石上布都魂神社」 | 2006.12.11 岡山市「半田山植物園」 |
樹皮(じゅひ)は,灰白色で平坦。粒状の皮目(ひもく)が点在する。左は,胸高周囲20〜30p程度の木。 | |
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2012.2.19 岡山県赤磐市「石上布都魂神社」 | 2010.3.10 岡山県高梁市近似 |
冬芽は円錐形で長さ2〜3o。新枝はふつう緑色で,稜はほぼない。近縁のクロガネモチは,新枝が紫色を帯び,角張る。 | |
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撮影日不明:岡山市「半田山植物園」 | |
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2007.1.27 岡山市 | 2010.1.31 和歌山県白浜町 |
雄株の花芽。葉腋(ようえき)に群がるようについている。4月頃開花する。 | |
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2012.2.5 岡山県笠岡市大飛島 | |
瀬戸内海の大飛島で見かけたモチノキ。 |
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のっぺりとしているのが特徴と言えば特徴だが,見分けにくい樹種の1つである。また,葉の形や大きさが生育環境などの諸条件でかなり異なるのも判断を難しくしている。私は一見したときにシキミと迷うことがあるが,シキミは葉に特有の匂いがあるので匂いを嗅げば判断できる。 | |
クロガネモチ(図1)は,葉腋から伸びる1本の柄に,花や果実を散形状につけるが,モチノキ(図2)は,葉腋から短枝を伸ばし,花や果実を付ける。 また,クロガネモチは直径が約6oで赤味が濃く,モチノキは約1pでやや淡い赤色。 |
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図1![]() |
図2![]() |
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鳥黐(とりもち)を作る木という意味。 春から夏にかけて樹皮を剥ぎ,数ヶ月間,水に浸けて発酵させた後,臼で搗いて組織片などを洗い流すと,粘りのあるゴム成分が残る。これを鳥黐や,紙に塗って蠅取り紙に用いた。鳥黐はクロガネモチ,ソヨゴ,イヌツゲ,タラヨウなどからも採れるが,モチノキの鳥黐を本黐(ほんもち)といい,最上とされる。(2) |
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モチノキは照葉樹林を代表する樹木のひとつである。岡山県では,中部から南部にかけての山林に分布し,特に沿岸部に多い(3)。県中部の落葉広葉樹の二次林ではほとんど見かけないが,常緑広葉樹で構成される社叢林内にはしばしば見られる。 また,公園樹,庭木などに古くから利用されてきたそうであるが,クロガネモチの方が圧倒的によく目にする。 |
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