クスノキ科クロモジ属ヤマコウバシ,学名:Lindera glauca Blume,かのんの樹木図鑑
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 クスノキ科 クロモジ属】  Lindera glauca Blume
  ヤマコウバシ  
【山香ばし】 別名/モチギ(餅木),ヤマコショウ(山胡椒),ショウブノキ(菖蒲の木),ショウガノキ(生姜の木)
 ●落葉低木(らくようていぼく)
 ●高さ:3〜5m
 ●花期:4月
  ※雌雄異株だが日本に雄株はなく,雌株のみで結実する。
               花は葉の展開と同時に開く。

 ●果期:10〜11月
 ●分布:本州(関東地方以西),四国,九州
参考文献
「山渓ハンディ図鑑3 樹に咲く花 離弁花@」(山と渓谷社)P424
「葉で引く 四国の樹木観察図鑑」(高知新聞社)P250
2008.6.18 岡山県高梁市「大平山」
葉は互生
(ごせい)。基部はくさび形,先端は鈍く尖る。縁は全縁(ぜんえん)で,やや波打つ場合がある。質はやや厚く,表面には鈍い光沢がある。裏面は灰白色。葉を傷つけると爽やかな香りがする。表面は主脈上に褐色の毛がある以外はほとんど無毛。裏面は脈上に長い開出毛(かいしゅつもう)を有し,特に主脈上には多い。
2006.10.8 岡山県「自然保護センター」 H15.7.25 岡山県吉備高原
アブラチャンと似るが,先端が鈍く,葉柄(ようへい)が短い。 うら面は,灰白色で主脈(しゅみゃく)に褐色の長毛がある。
H15.7.25 岡山県吉備高原 −林道−  2005.9.25 岡山県「自然保護センター」
未熟な果実。 熟した果実。直径約7oの球形の液果(えきか)。果柄(かへい)は先にいくほど太くなる。
2006.10.8 岡山県「自然保護センター」
果実の中には,大きな球形の種子がひとつ入っている。
H15.11.2 岡山県「自然保護センター」 H15.2.1 岡山市「半田山植物園」
冬の間も枯れ葉を枝に残し,散るのは翌春。秋には赤褐色に色づいた葉が美しく映える。他の落葉樹がまる裸になる冬の間も,ヤマコウバシはよく目立つ。 2月ぐらいになると,さすがに葉の光沢も失せてきた。しかし,あと2ヶ月近くも散らずに枝に残る。
2006.10.8 岡山県自然保護センター 2006.12.30 岡山県吉備中央町
樹皮(じゅひ)は茶褐色で,小さな皮目がある。 冬芽は紡錘形で複数の赤褐色の芽鱗に包まれている。先端付近の芽鱗のみに短毛が密生し,白く見える。
クロモジ属では唯一の混芽。つまり,花と葉がひとつの芽にいっしょにおさまっている。
2011.4.25 岡山県吉備中央町 2011.4.27 岡山県吉備中央町
展開しはじめた冬芽。芽鱗が剥がれ,上部から新葉が,下部から雌花が顔をのぞかせている。
雌花。雌雄異株だが,日本には雌株しかないという。
アブラチャン(Lindera praecox(図1・2)と葉の感じが似ているが,本種の方が葉の先端がにぶく,葉柄が短い。また,葉柄にはアブラチャンのような赤味はない。
●クロモジ属の中で唯一の混芽。その他のクロモジ属は,葉芽と花芽を別々につける。
●雌雄異株だが日本には雄株がなく,雌株のみで結実するという珍しい樹木。
図1 図2
名の由来
ヤマコウバシは,山にある「香ばしい木」という意味。枝や葉を傷つけたときの香りは,ショウブやショウガ,コショウなどに喩えられ,別名の由来となっている。乾燥させた若葉を粉末にして,餅に混ぜて非常食にしていたことがモチギ(餅木)の由来。
岡山県情報
岡山県内では,全域で普通に見られる。
落葉広葉樹林に自生する落葉低木であり,夏は目立たないが,里山のコナラやアベマキが落葉すると,茶色い葉を長く枝に残したヤマコウバシが目に付くようになる。
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