クスノキ科タブノキ属タブノキ,学名:Machilus thunbergii,かのんの樹木図鑑
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 クスノキ科 タブノキ属】  Machilus thunbergii
 タブノキ  
【 椨の木 】   別名 / イヌグス,タマグス
 ●常緑高木
 ●高さ:20m
 ●花期:4〜5月,両性花
(りょうせいか)
 ●果期:7〜8月
 ●分布:本州,四国,九州,沖縄
参考文献
(1) 高橋秀男・勝山輝男監修『樹に咲く花』山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑3〉,2001年,P408
(2) 松井宏光,葉で引く四国の樹木観察図鑑,高知新聞社,2002年,P260
(3) 深津正,小林義雄著,木の名の由来,東京書籍,1993年
(4) おかやまの自然第2版,岡山県環境保健部自然保護課,1993年
H15.11.24 岡山県加賀郡吉備中央町 H15.12.30 岡山市「子供の森公園」
葉は枝先に集まってつく。互生(ごせい)。葉身は,長さ8〜15cm。基部はくさび形で先端は尖る。縁は全縁(ぜんえん)。革質で厚く光沢がある。両面とも無毛。
H15.12.30 岡山市「子供の森公園」 H14.12.31 岡山県加賀郡吉備中央町
花と葉が入った混芽(こんが)を枝先にひとつつける。芽鱗は赤みを帯び,縁には黄褐色の毛がある。
H16.4.17 岡山市「子供の森公園」 H16.4.17 岡山市「子供の森公園」
タブノキは混芽。ふくらんだ冬芽から一気に花と葉が吹き出している。 花は両性花。花被片は6個ある。
H17.6.5 岡山市「自然保護センター」  2011.6.13 岡山県吉備中央町
まだ若い果実(かじつ)。基部には,花被片(かひへん)が残っている。熟すと果皮は黒く,花柄は赤く色づく。 新葉の展開。新葉は赤みを帯びる。
近縁のアオガシ(ホソバタブ)では,新葉は赤味を帯びない。
2012.1.7 岡山県総社市種井
2011.12.30 岡山県加賀郡吉備中央町 2012.2.11 岡山県総社市「御前神社」
2012.1.7 岡山県総社市種井
淡い褐色で平坦。いぼ状の皮目(ひもく)が散在する成木の樹皮は,この木を見分ける際の大きな手がかりになる。若木ではクスノキ科によく見られる緑色の樹皮。老木になると,細かく裂片が剥がれ,一見ケヤキのようにも見えることもある。
2012.1.7 岡山県総社市種井
タブノキの実生苗。おそらく昨年の春に芽生えた株だろう。神社の屋根から水が滴るところにたくさんあったので,1本抜かせてもらったところ,2つに割れた種子がまだ残っていた。葉裏が白かったので,シロダモかとも思ったが,シロダモの特徴である三行脈が見られないので,やはりタブノキでよいだろう。右下はもう少し成長した株で,こちらはタブノキらしい葉と赤味を帯びた冬芽がしっかりと確認できた。
2011.6.19 岡山県加賀郡吉備中央町
切り株からの徒長枝についた葉は,質が柔らかくしなやかで,初めタブノキとは分からなかった。葉裏にいた幼虫は,クスノキ科の植物を食草とするアオスジアゲハの幼虫。
2012.4.1 岡山県吉備中央町高谷
民家の裏庭に立派なタブノキを発見。おそらく吉備中央町では最大級ではないだろうか。
ブナ科のマテバシイ(Lithocarpus edulis(図1)の葉に似ている…と感じているのは私だけかも知れないが,時々どっちかな…と思ってしまう。(もちろん,果実や花があれば間違えようもない。)
ただ,私は,タブノキの方がふつう葉が小さいことや,葉を傷付けるとクスノキ科特有の匂いがすること,冬芽の形状,樹皮などから総合的に判断するようにしている。

あと,やや反則技かも知れないが,樹下をさがしてドングリがあるか確認する手もある。なければタブノキとは言い難いが,あればマテバシイの可能性はぐっと高くなる。
図1
クスノキ科の常緑樹の中には,3行脈が発達したものがある。
3行脈がある クスノキ,シロダモ,イヌガシ,ヤブニッケイ など
3行脈がない タブノキカゴノキアオガシ など
3行脈ではない3種の葉は典型的な葉では間違えにくいが,徒長枝や幼木など変異の大きな葉では判断に迷うこともある。
材はやや硬く,大径材が得られたことから,建築材,家具材,枕木,船舶材など多方面に用いられた。
近年は,樹形の美しさから公園樹や街路樹にも用いられる
(2)
名の由来
 一説には,「丸木船」を意味する韓国の方言「t'ong-bai」が由来と言われる(3)
 別名のイヌグスは,クスノキよりも材が劣ることに由来する
(1)。しかし,タブノキの材や樹皮も昔から有用性が高く,様々な生活場面で生かされてきており,「劣る」というのは,あくまでエリートであるクスノキと比較しての話である。
岡山県情報
 タブノキはふつう海岸近くの温暖で湿潤な気候下で生育するが,岡山県では比較的内陸部の総社市の熊野神社,御前(みさき)神社などに分布域がある。瀬戸内海沿岸の乾燥した気候が,沿岸でのタブノキの生育を妨げていると考えられている(4)

 私が住む吉備高原都市の周辺にもタブノキが点在し,中には狭いながらもタブノキが優先していると思える林もある。
 ただ,これが昔からあったものなのか,吉備高原都市ができたことに起因するものなのかは不明である。しかし,吉備高原都市から数q離れた雑木林にも見られること,様々な成長段階の株があることから,昔から自生しているのではないかと私は思っている。
津川のタブノキ
(岡山県指定郷土記念物)
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