クスノキ科シロダモ属イヌガシ,学名:Neolistea aciculata,by.かのんの樹木図鑑
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 【クスノキ科 シロダモ属】 学名 :Neolistea aciculata
 イヌガシ
【 犬樫 】   別名 /マツラニッケイ 
 ●常緑高木
 ●高さ:10m
 ●花期:3〜4月,雌雄別株
 ●果期:10〜11月
 ●分布:本州(関東地方南部以西),四国,九州,沖縄
参考文献
1) 高橋秀男ほか,「山渓ハンディ図鑑3 樹に咲く花」(山と渓谷社)P452
2) 松井宏光,「葉で引く四国の樹木観察図鑑」(高知新聞社)P257

2010.3.26 香川県満濃町
葉は互生(ごせい),枝先に集まって付く。葉身は倒卵状長楕円形で,長さ5〜12p。先端はやや尾状に尖り,基部はくさび形。縁は全縁(ぜんえん)。薄い革質で,表面には光沢があり,3脈が目立つ。裏面はロウ質に覆われて粉白色。
2010.3.26 香川県満濃町
2011.3.30 岡山県備前市
雄花序。雄花は雌花よりもやや大きい。花被片(かひへん)は4個,雄しべは6個,花糸(かし)は紅色。雌しべはあるが退化しており,結実しない。
2011.3.30 岡山県備前市
雌花序。花被片(かひへん)は紅色で4個,葯(やく)が退化した仮雄しべが4個,花糸(かし)は紅色。雌しべは1個で淡黄色。雌しべの基部には淡黄色の腺体がある。
2011.12.31 岡山市御津宇甘九谷 2011.12.31 岡山市御津宇甘九谷
果実は長さ約1pの長楕円形。光沢のある黒色に熟す。果柄は7〜8oあり,立ち上がって付く。
ヤブニッケイの果実に似ているが,本種の方が果柄が太くて短い。
2010.3.26 香川県満濃町 2011.12.31 岡山市御津宇甘九谷
冬芽。葉芽は披針形,花芽は球形で複数の芽鱗に覆われている。
2011.3.30 岡山県備前市 2010.3.26 香川県満濃町
樹皮は茶褐色で平坦。左はやや大きな木,丸い皮目(ひもく)が目立つ。
見どころ
同じクスノキ科シロモジ属のシロダモ(図2)に葉がよく似ているが,シロダモの方が裏の白さが顕著である。また,シロダモの方が葉の先端が徐々に細くなる。
図1 イヌガシ 図2 シロダモ (Neolitsea sericea
名の由来
カシ(樫)は,ブナ科コナラ属の常緑高木の総称である。材質は非常に堅く,粘りがあることから木刀,道具の柄などに最適であり,古くから用いられてきた。それに対して,材としての利用価値が低いという意味でイヌガシとされる。
しかし,イヌガシはクスノキ科であり,分類上はまったく近縁ではない。葉の大きさや質感が似ているだけで,木材の優等生カシ(樫)と比較されてしまったのは気の毒。

別名を“マツラニッケイ”という。“ニッケイ”は,樹皮や葉の感じがニッケイ(Cinnamomum okinawense)に似ていることによるのだろう。“マツラ”は,長崎県の松浦に由来すると言われている。ヤブニッケイにもマツラニッケイの別名があるので,ひょっとすると混同されていたのかも知れない。
岡山県情報
岡山県内では,南部から中部にかけて分布するが少ない。
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