ブナ科シイ属ツブラジイ,学名:Castanopsis cuspidata,by.かのんの樹木図鑑
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 【ブナ科 シイ属】 学名 : Castanopsis cuspidata
 ツブラジイ
【 円ら椎 】   別名 / コジイ(小椎) 
 ●常緑高木
 ●高さ:20m
 ●花期:5月下旬〜6月
 ●果期:翌年の10〜11月
 ●分布:本州
(関東地方以西),四国,九州(南限は屋久島)
参考文献
1) 高橋秀男ほか,「山渓ハンディ図鑑3 樹に咲く花」(山と渓谷社)P276
2) 松井宏光,「葉で引く四国の樹木観察図鑑」(高知新聞社)P357
3) 千葉喬三監修,山陽新聞社,岡山の樹木,1989年,P225

2012.1.2 岡山市御津河内「徳蔵神社」
ひこばえの葉。全縁(ぜんえん)の葉から,先端から半分近くまで鋸歯(きょし)のある葉など葉縁の変化は大きい。
葉は互生
(ごせい),葉身は長さ5〜10pの卵状長楕円形,つまり葉の最も幅の広いところは中央より基部よりにある。質は厚く,表面に光沢があるが,スダジイよりはふつう薄いとされる。ただし,中間型もあるため葉だけでの判断は難しい。
葉の裏面は,黄金色の光沢を帯びることが多いが,右の写真のような銀色の光沢を帯びていることもある。
2012.1.2 岡山市御津河内「徳蔵神社」
堅果(けんか)は,長さ6〜13oの球形。未熟な期間は殻斗(かくと)に覆われているが,成熟すると殻斗が3裂し,黒褐色で光沢のある堅果が現れる。
殻斗の外面には鱗片
(りんぺん)が同心円状に並んでいる。
ツブラジイの堅果は,スダジイと同様に渋味がなく,殻を割るとそのまま食用になる。
2012.1.2 岡山市御津河内「徳蔵神社」
樹皮は,「灰黒色でなめらか,ふつう割れ目はできない」と図鑑に記述されている。スダジイに比べると確かに樹皮はなめらかだが,浅い割れ目がある場合もあり,判断に迷うことも多い。また,割れ目ができるのはかなり木が成熟してからなので,幼木,若木ではこの基準で判断できない。
スダジイと同じように板根
(ばんこん)を形成することがある。
建築材,器具材(農具の柄など)など木材としての有用性があるほか,薪炭材やシイタケのほだ木などにも利用されてきた。堅果には渋みがなく,あく抜きをしなくても食べられる。
ツブラジイ(コジイ)との区別の難しさがしばしば指摘される。それは,中間型(雑種)の存在が知られており,明確な判断ができない場合が多いからである。
下の表に一般的に言われている両者の識別点をまとめた。最も有効とされているのは,堅果の長さである。樹皮も重要なポイントとされているが幼木,若木では判断がつかない。

樹皮 堅果の長さ 葉の厚み 葉身の長さ
スダジイ 縦に深い割れ目 12-20o やや厚い 5-15p
ツブラジイ なめらか 6-13o やや薄い 5-10p
葉の厚みについては,表皮組織がスダジイでは2層,ツブラジイ(コジイ)では1層の細胞から構成されるのが典型とされる。しかし,これについても中間型があることが知られている。
樹皮の特徴については,スダジイの方が寿命が長いこととの関連も指摘されている。
名の由来
スダジイに比べて,堅果が丸っこいことから,円らな堅果をつける椎の意味。なお,前川氏は「ツブ」が「タニシ」の古語であることから,タニシのような堅果をつける椎という説を唱えている。

参考文献
・前川文夫著,「植物の名前の話」,八坂書房,1994
岡山県情報
瀬戸内海沿岸では,瀬戸内海に近いところではコジイ,内陸部ではスダジイが優先する傾向にある。岡山県内では,徳蔵(とくら)神社(岡山市),由加山(ゆがさん)(倉敷市),石上布都魂(いそのかみふつみたま)神社(赤磐市)などの社叢林に半自然状態で点在する。
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