ブナ科マテバシイ属マテバシイ,学名:Lithocarpus edulis,かのんの樹木図鑑
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 【ブナ科 マテバシイ属】  Lithocarpus edulis
  マテバシイ  
【馬刀葉椎】 別名/サツマジイ,マタジイ,マテジイ,マテバガシ,
マテガシ,アオジイ
 ●常緑高木
 ●高さ:15m
 ●花期:6月 (雌雄同株)
 ●果期:翌年の秋に成熟
 ●分布:本州,四国,九州,沖縄
参考文献:「山渓ハンディ図鑑3 樹に咲く花 離弁花@」(山と渓谷社) P274
葉は互生(ごせい)で,枝先に集まる。葉身は長さ5〜20pで,倒卵状楕円形。基部はくさび形で,先端は短く尖る。革質で厚く表面には光沢がある。
裏面も無毛だが,はじめは葉脈に沿って鱗状の毛が密生している。
H15.6.25 岡山県加賀郡吉備中央町 H15.6.25 岡山県加賀郡吉備中央町
葉の形や大きさには変異が多いらしい。これは細いタイプ。 幅広のタイプ。これくらい大きいと遠目にはタイサンボク(モクレン科)に見えた。
2011.6.21 岡山県加賀郡吉備中央町
雄花序は長さ5〜9p,本年枝の数カ所の葉腋から斜上する。マテバシイは,昆虫が花粉を媒介する虫媒花(ちゅうばいか)で,独特の香りを放ち,昆虫を集める。
2011.6.29 岡山県加賀郡吉備中央町
雌花序は長さ5〜9pで,本年枝上部の葉腋(ようえき)から斜上する。雌花は直径約1pの総苞(そうほう)に包まれ,花柱3個が出ている。
H16.2.14 岡山県玉野市「田井海洋公園」 H15.6.25 岡山県加賀郡吉備中央町
枝先の新枝に,昨年受粉したと思われるドングリの赤ちゃんを見つけた。1カ所に2〜3個ぐらいあるようだ。中には雌しべの柱頭らしきものが残っているものもあった。このまま冬を越し,今年の秋には立派なドングリに生長する。 果実(かじつ)は,2年で熟す。これは,2年目の果実。今年の秋に成熟したドングリになる。
H16.2.21 岡山県加賀郡吉備中央町
マテバシイや,シリブカガシの特ちょうは,殻斗(かくと)をとったときにおしりのところがくぼんでいること。長さ1.5〜2pの長楕円形で,コナラなどに比べるとかなり硬い。そのためかドングリ虫の類が入っていることは稀である。
また,中身は渋みがなく,渋抜きをしなくても食用になる。
 マテバシイの木を何気なく見ていたところ,このような小さな果実がところどころにあるのに気がついた。
 枝には元気がなくさわると簡単に根本から折れてしまう。一部には殻斗
(かくと)が残っていることから,これは昨年の秋に熟すべきものだったことが分かる。このように,成熟しない果実を「シイナ」と言う。
H16.12.6 岡山県加賀郡吉備中央町 2006.12.11 岡山市「半田山植物園」
冬芽。 縦に白っぽい筋が入るのが特徴。同属のシリブカガシには,割れ目がない。
葉身 側脈 堅果(長さ) 堅果(色)
マテバシイ 5-20p 10-13対 1.5-2.5p 茶褐色
シリブカガシ 6-14p 6-8対 2-3p 黒褐色
建築材,器具材,薪炭材として利用される。堅果は渋がほとんどなく,渋抜きをしなくても食用となることから,救荒食として各地で植栽されたそうだ。
名の由来
マテガイ(二枚貝の一種)に似た堅果をつけるシイの意味とする説がある。
前川氏は,スダジイ,ツブラジイ,マテバシイの3種について,いずれも貝と関連させて考えている。ちなみに,「スダ」は「シタダミ」,「ツブ」は「タニシ」を由来としている。

参考引用文献
・前川文夫著,「植物の名前の話」,八坂書房,1994

マテガイの由来は,「馬刀」という中国の武器(短刀)とされる。「馬刀」はマダオと発音され,先端が太い形状は確かにマテ貝には似ているが,マテバシイの堅果に似ているとは到底思えない。
岡山県情報
自生しないが,公園などにはよく植栽されており,ドングリ拾いが楽しめる場所はそこそこある。
(注)作者は専門家ではありません。あくまで趣味のページですので,まちがった情報もあるかもしれません。まちがいを発見された場合ご一報いただければ幸いです

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