○両と名のつく樹木図鑑(お正月の縁起木),かのんの樹木図鑑
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「○両」と名のつく樹木図鑑

お正月が近づくと「センリョウ」,「マンリョウ」などの縁起木をホームセンターの店先で見かけるようになる。標準和名ではないが,カラタチバナは百両,ヤブコウジは十両,アリドオシは一両とも言われ,やはり店先に並ぶ。
ここでは,「○両」と呼ばれる縁起木について考えてみたい。
 万両=マンリョウ(ヤブコウジ科 ヤブコウジ属)
赤い果実をたわわに下げた様が「センリョウ」よりも豪華であるとして「マンリョウ」の名が定着したのは江戸時代中期だそうだ。
それ以前は,アカギと呼ばれていた。

園芸品種が多く出回っており,黄色の果実をつけるキミノマンリョウ,白色の果実をつけるシロミノマンリョウなどがある。

 千両=センリョウ(センリョウ科センリョウ属)
マンリョウが果実を下げるのに対して,センリョウは果実を上向きにつける。

「百両金」の中国名を持つカラタチバナよりも大型であることからセンリョウといわれるようになったとのこと。
 百両=カラタチバナ(ヤブコウジ科ヤブコウジ属)
高さが20〜70pのカラタチバナは,マンリョウ,センリョウよりもやや小型である。
中国名を「百両金」といい,センリョウやマンリョウの名は,「百両金」との比較からつけられたと考えられている。
 十両=ヤブコウジ(ヤブコウジ科ヤブコウジ属)
さらに小柄な,十両ことヤブコウジ。地面からひょいと伸び,赤い実を2〜3個つけた姿は可愛いらしい。

別名をヤマタチバナ(山橘)という。高級感のあるカラタチバナ(唐橘)に対して山にあるタチバナという意味だろう。
 一両=アリドオシ(アカネ科アリドオシ属)
一両の別名をもつのがアリドオシ。
アリドオシ属には,アリドオシ,オオアリドオシ,ジュズネノキ,草本のツルアリドオシがある。


「千両,万両,有り通し」
(センリョウ,マンリョウ,アリドオシ)
…などと縁起をかついだ言い回しがされる。

こうして,一つ一つ考察してみると,「○両」の名は商売と密接に関係しているように思えてきた。

百両金のカラタチバナよりも縁起のよい木としてセンリョウ(千両)が登場し,さらにセンリョウ(千両)よりも縁起のよい木としてマンリョウ(万両)が登場したのは,それを売ろうと考えた人がいたからに他ならない。今後,「億両」を登場させる人はないだろうが…。

コシアブラ“タラノメよりも美味い”という宣伝文句で唐突に売られていたりするのと,ちょっと似ている気がする。 今後コシアブラが,スーパータラノメなどという名で呼ばれることはないだろうが…言わばそういうイメージである。

しかしながら,赤い果実をつける樹木はほかにもいろいろがあるが,「○両」と呼ばれようになる条件とはなんだろうか。考えるに,(1)常緑樹である (2)赤い果実を冬につける (3)低木である この3点ではないだろうか。
参考引用文献
・深津正,小林義雄著,「木の名の由来」,東京書籍,1993年

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