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似た名前だけど…
分類は違う樹木図鑑

樹木の中には,名前は似ているけれども,分類上は
全く異なる仲間であるというものが少なくありません。
ここでは,私自身の頭の中を整理する意味で,
紛らわしい樹木を集めてみました。

 ● 「○○ウツギ」の仲間  
○○ウツギと名の付く樹木はものすごく多い。本家本元はユキノシタ科のウツギ。枝が中空になっているので「空木」というのが名の由来だが、ウツギと名の付く樹木すべてが、そうであるとも思えない。
ほとんどが、落葉低木〜小高木と小振りで、葉は対生しているあたりに共通性があるようだ。
ユキノシタ科 ウツギ 
スイカズラ科 タニウツギ 
ユキノシタ科には、ウツギと名の付く樹木が多いが、すべて落葉低木で葉は対生している。

ウツギ属 ヒメウツギ
バイカウツギ属 バイカウツギ
アジサイ属 コガクウツギ
アジサイ属 ノリウツギ
スイカズラ科にも、ウツギと名の付く樹木が多い。
やはり、落葉低木〜小高木(ハナゾノツクバネウツギだけは半常緑低木)葉は対生。

タニウツギ属 ハコネウツギ
タニウツギ属 ニシキウツギ
タニウツギ属 ヤブウツギ
ツクバネウツギ属 ツクバネウツギ
ツクバネウツギ属 コツクバネウツギ
ツクバネウツギ属 ハナゾノツクバネウツギ
フジウツギ科 フサフジウツギ ミツバウツギ科 ミツバウツギ 
中国原産。ブッドレアの名で知られている。園芸品種も多く生産されており花色も様々。やはり、葉が対生。 落葉低木。葉は対生で3出複葉。

 ● 「○○カシワ」の仲間  
カシワは、カシキハ(炊葉、つまり食べものを盛りつける葉の意味)が由来とされている。食べものを盛りつけるだけの十分な大きさが必要であるため、大きな単葉を有する樹木に付けられたようだ。(コノデガシワの由来は不明)
ブナ科 カシワ  ブナ科 ナラガシワ 
カシワの葉は今でも柏餅に用いられるように、古くから食べ物を盛りつけたり、くるんだりしていたらしい。 ナラガシワもやはり葉が大きい点は同様である。カシワとは葉柄の長さで区別する。
ヒノキ科 コノテガシワ  トウダイグサ科 アカメガシワ 
とても食べものは盛れそうもないが…なぜ、カシワなの…?? アカメガシワの葉も、単葉にしては大きく、かつて食べ物を盛りつけたという説がある。

 ● 「○○キリ」の仲間 
本家本元は、ゴマノハグサ科のキリだろう。○○キリの仲間は、葉柄の長い大型の単葉をもつのが特徴。また、主幹が明確で高木になるのも「キリ」の仲間入りするのに必要な条件だろうか?
ゴマノハグサ科 キリ   イイギリ科 イイギリ 
中国原産の落葉高木。大型の単葉を有する。幹は太く比較的真っ直ぐ伸び、材質も良いため木材として古くから利用されてきた。 落葉高木で、大型の単葉を有する。主幹は明確で真っ直ぐに伸びる。イイギリの「イイ」は「飯」の意味で、かつてご飯を包んだことに由来するらしい。
アオギリ科 アオギリ  ウコギ科 ハリギリ 
沖縄に自生する落葉高木。各地に植栽される。大型の葉は掌状に,3〜5裂する。緑色を帯びた主幹を真っ直ぐに伸ばす。 吉備高原でもよく見かける落葉高木。葉はやはり大型で、5〜9裂する。主幹は明確で真っ直ぐに伸びる。
★トウダイグサ科に、アブラギリという樹木もある。残念ながら私は未だに観察の機会がないが、アブラギリも、やはり、大型の単葉をもち、普通浅く3裂する。落葉高木で主幹は明確なのも同様だ。

 ● 「○○ツタ」・「○○カズラ」の仲間  
いずれもツル性木本。しかしながら、「ツタ」・「カズラ」・「ツル」はどう違うのか。国語事典では、カズラ(葛)とは、ツル草の総称とあるが…
ウコギ科 キヅタ  ブドウ科 ツタ 
常緑のツル性木本。冬でも葉があるため冬ヅタと呼ばれる。 落葉のツル性木本。キヅタの冬ヅタに対して、こちらは夏ヅタと呼ばれる。
キョウチクトウ科 テイカカズラ  マツブサ科 サネカズラ 
常緑ツル性木本。茎から気根(きこん)をだし,樹木や石垣などをよじ登る。
別名はビナンカズラ(美男葛)。かつて樹皮から整髪料を作ったことに由来する。常緑ツル性木本で、他の樹木に絡みつく。
スイカズラ科 スイカズラ  ノウゼンカズラ科 ノウゼンカズラ 
半常緑ツル性木本。花の奥にある蜜を吸っていたことに由来する。また別名のニンドウの呼び名も有名で,これは中国名「忍冬」に由来する。 落葉ツル性木本。中国原産で、平安時代にはすでに渡来していたという。花が美しく庭によく植えられる。

 ● 「○○バイ」の仲間  
「バイ」とは、言わずもがな「梅」のことである。これは間違いなく花に着目した名であろう。平開した5弁花、多数の雄しべなどがウメの花の特徴。以下の樹種すべてに当てはまるわけではないが、確かにウメの花を思わせる花をつけている。逆に言うと、古の人にとって、ウメがいかにお気に入りの花だったのかが伺われる。
バラ科 ウメ  バラ科 リキュウバイ 
5弁花、雄しべは多数。
オトギリソウ科 キンシバイ  フトモモ科 ギョリュウバイ 
中国原産で日本には江戸時代に渡来したとされる。金糸梅と書く。“キンシ”(金糸)は、多数ある黄色の花糸(かし)を指していると思われる。
バラ科 シャリンバイ  クスノキ科 ダンコウバイ 
ロウバイ科 ロウバイ  ユキノシタ科 バイカウツギ 
ソシンロウバイもある。 4弁花。雄しべが20個前後と多く,花柱は4裂する。

 ● 「ヒイラギ○○」の仲間  
ヒイラギ○○仲間の特徴は、何と言っても鋭い刺状の鋸歯を有する葉である。いずれの樹木も、分類上は全く異なる科に属するが、動物からの食害を裂けるために同じ性質を発達させてきたのだろう。
モクセイ科 ヒイラギ  メギ科 ヒイラギナンテン 
本家本元のヒイラギ。同属にヒイラギモクセイもある。 ヒイラギに似て見えるが,こちらは羽状複葉(うじょうふくよう)。葉の痛さはヒイラギほどではない。
モチノキ科 ヒイラギモチ 
こちらはモチノキ科。刺状の鋸歯は本家本元に勝るとも劣らない痛さ。

 ● 「○○モチ」と名が付く仲間  
○○モチの本家本元は、やはりモチノキ科のモチノキだろう。かつて、この樹皮のを剥いで、「鳥もち」の材料にしたことが名の由来である。モチのつく樹木からすべて鳥餅が作れるとは思えない。モチ仲間は、いずれも常緑で厚みのある革質の葉をもっているのが共通の特徴のようだ。
モチノキ科 モチノキ  バラ科 カナメモチ 
本家本元のモチノキ。他にもモチノキ科にはクロガネモチ、ヒメモチなどがある。 同属にオオカナメモチもある。
モクセイ科 ネズミモチ  ホルトノキ科 コバンモチ 
こちらはモクセイ科なので葉が対生なのは大きな相違点。同属に中国原産のトウネズミモチもある。

 ●「○○シキミ」の仲間  
本家本元はやはりシキミだろう。シキミ、ミヤマシキミとも葉の質感が似ているだけでなく、全体に毒性分を有する点も同じだ。
シキミ科 シキミ ミカン科 ミヤマシキミ 
本家本元のシキミ。全株に毒性分を含むが特に果実には多い。仏事によく用いられ,シキビとも言われる。 シキミと葉の形や質感が似ている。しかもこちらも全株に毒性分を含む点も同じだ。同属にツルシキミもある。
(注)作者は樹木の専門家ではありません。あくまで趣味のページですので,まちがった情報もあるかもしれません。
まちがいを発見された場合ご一報いただければ幸いです。


 

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