妙見山,岡山市御津虎倉の植生,かのんの樹木図鑑
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妙見山(岡山市御津虎倉)の植生

岡山市北区御津虎倉(みつこぐら)の集落の南側に,宇甘川(うかいがわ)をはさんで見える小高い山がある。名前は定かでないが,御津紙工(しとり)に山頂部がある妙見山(みょうけんさん)から連続する山地である。
 山頂部には,毘沙門天
(びしゃもんてん)が祀られた小さな祠があり,西の斜面から山頂まで山道が続いている。

本格的な調査ではないが,少し時間があったので2時間ほど林内を歩き回わり,常緑樹を中心に調べてみた。
一歩中に入ると,左の写真のような株立ち状になったアベマキやコナラ,リョウブなどが多いことに気が付く。これは,これらの木が過去に何度か切り倒され,萌芽再生してきたことを物語っている。
この山は虎倉集落の里山林として,人々の生活を支えてきたに違いない。

現在は,木を切る者もなく,アラカシシラカシナナミノキなどの常緑高木, カナメモチソヨゴリンボクネズミモチヒイラギヒサカキなど常緑小高木が成長してきている。
また,個体数は少ないが,カヤカゴノキも確認できた。さらに,数本のモミがコナラやアベマキを追い越して,ひときわ抜きん出ており,優占種になりつつある。(一番上の写真で飛び出している木がモミ)
コナラ,アベマキ林の林床にはヤブコウジシロバナウンゼンツツジ,その他常緑樹の幼木が多い。
北側の崖地は,その急峻さのためにあまり伐採されなかったため,アラカシが優先する常緑樹林を形成している。崖にはシダ植物のヒトツバの群落が目立った。
▲株立ち状になったアベマキ。
▲カゴノキ
見つけたのはこの1株のみ。目通り周囲は約35p。
▲モミ
本数は4本しか確認できなかったが,目通り周囲はひとかかえほどあった。
▲シラカシの大木
これも下部で2又になっている。かつて伐採されたのち萌芽更新したものだろうか。
この時期,果実についてはカナメモチとナナミノキが圧倒的な存在感を示していた。ほかには林床ではヤブコウジ,高木層ではソヨゴに果実が見られた。
▲カナメモチ(バラ科)の果実 ▲ナナミノキ(モチノキ科)の果実
▲ヒトツバ(ウラボシ科)
シダにはあまり詳しくないのだが,おそらく間違いないだろう。北側の崖を中心に群落を形成してた。
ツル植物では,テイカカズラ(あるいはケテイカカズラか要確認),キヅタ,チトセカズラ,イタビカズラ,サネカズラが見られた。
最後に,今回歩いてみての印象であるが,かつてのアカマツ,コナラ,アベマキの里山林から,常緑樹林に遷移が進みつあると感じた。私が幼少のころから山腹の岩場にシンボルのように立っていた美しい樹形アカマツが2〜3年前(2009年ぐらい)に枯れてしまった。(2011年現在も立ち枯れ状態のまま残っている)今回歩いてみても,尾根スジを中心にアカマツの立ち枯れが目立っていた。また,アカマツ林に多い,ヒサカキやアセビがほとんど見られなかったのも,この山がすでに常緑樹林になりつつあることの現れのように思う。

メール(注)作者は樹木の専門家ではありません。あくまで趣味のページですので,
まちがった情報もあるかもしれません。まちがいを発見された場合ご一報いただければ幸いです。

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