2014年1月22日,地元の化気神社に立ち寄ってみた。化気神社周辺は「化気郷土自然保護地域」に指定されている。また,「岡山県の主な自然林」(1)にリストアップされているように,この地の自然植生をうかがい知ることができる貴重な自然が残された地である。
ところが,この日は,化気神社を取り囲むようにオレンジ色の上着を着たおじさんたちが配置していた。イノシシの狩猟である。うかつに林内に入り,イノシシと間違えられたり,猟犬に追われたり,手負いのイノシシに遭遇したりすると危険なので境内を歩くにとどめた。 |
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化気郷土自然保護地域
化気地域はなだらかな吉備高原の一角に位置し、石英斑岩(せきえいはんがん)を母岩とする地質でおおわれています。
化気神社の北側には樹齢300余年のスギ、ヒノキなどの巨樹が生育し、下層にはモッコク、アラカシ、ヤブツバキ、シキミ、サカキなどが繁茂し豊富な植生を有しています。また南斜面には高木層にモミ、ウラジロガシ、下層にはヤブツバキ、シキミ、モミなどが生育する自然度の高い天然林があり、さらに東側及び西側には樹齢100年余のアカマツ林が形成されています。
化気神社は、県の無形文化財の指定を受けている加茂大祭に参加する八社のうちの一社であり、地域住民との結びつきが強く、建造物と社叢がよく調和し一体となってすぐれた郷土景観を形成しています。
(上の案内看板を転写)
※石英班岩=石英とアルカリ長石の斑晶をもつ岩石 |
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▲グーグルアースで調べると,この地の標高は約430m。ヒノキ林から北北西を垣間見ると,中国山地の山並みがよく見えた。おそらく左端の山頂が星山(1030m),中央よりやや右の山頂が五輪山(980m),となりの山頂が櫃ヶ山(953m)。下蒜山,中蒜山は摺鉢山,三坂山に阻まれて見えないが,上蒜山や大山は見通しがよければ見えるはず。 |
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▲モミ(マツ科)の大木
案内板の通り,南側にはモミの大木が何本もあり大きな樹冠を広げていた。 |
▲ウラジロガシ(ブナ科)の大木
境内のすぐ南側に立つウラジロガシの大木。太い枝が大きく張り出して大きな樹冠を形成していた。
周辺をみると,何本かのウラジロガシを確認できた。 |
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▲ヒノキ(ヒノキ科)
大木と言うほどではないが北側にはヒノキが多く植えられており,この時期,きれいに皮剥ぎがなされ,赤褐色の樹皮が夕日に映えていた。 |
▲カゴノキ(クスノキ科)
数は少ないが立派なカゴノキも見られた。 |
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▲ツルシキミ(ミカン科)
境内の西側の斜面下に見えた。左下にはムベの葉も見える。 |
▲クロバイ(ハイノキ科)
私にとってこの日一番の収穫はクロバイ。岡山県内では南部ではふつうだが中部ではなかなかお目にかかれない。 |
参考文献
(1) おかやまの自然第2版,岡山県環境保健部自然保護課,1993年 |